【追記あり】映像の「時空間」を自分の手で操る〜クロノスプロジェクタ〜

 
 ただいま、T lounge(工学部の研究成果の広報スペース)のリニューアルを検討中です。というわけで、私はいろいろな研究室にお伺いして、お話を伺っているところ。「展示物」として成立するための条件ってなかなか厳しいんですよね。見る人にとって魅力的か否か、というのが第一条件ですが、他にもいろいろ。大きさという問題もありますし、盗難・破損などリスクも考えなきゃダメ。常設展示だけど、展示のための解説員がいないという問題もある。あと、予算というきびしーい(一番厳しいかも!)条件があります。そんなわけでいろんな研究室を訪ね歩く私であります。これも楽しいから役得? 「すごいすごい!」の連続ですから。

 先日、計数工学科の石川並木小室研究室石川正俊教授のもとを訪れました。石川先生は、高速処理・高速動作ロボットの研究をされていて、バッティングロボットやペン回しロボットなどの成果があります。バッティングロボットの動きはT loungeの100inchモニタでも放映していて、それを見た小学生の男の子たちが「すげえ」と感心していた様子は先日のエントリーに書いたとおりです。

 出張直後でお忙しいところに、お会いしてくださった石川先生。「動かさない展示なんだよね」……ハイ、確かに動かさないと高速処理・動作ロボットの良さが伝わらない。「それに、うちのロボットたちは授業にも使うから、ずっと展示しておくわけにはいかない」と。た、確かに〜と落胆しかけた私に対し、石川先生は「でもね、代替案は考えてあるよ」と! 嬉しくて涙出ます、石川先生〜。それはアルバロ・カシネリ助教の研究成果であるクロノス・プロジェクタ。柔らかいスクリーンにある映像が映されている、手を触れるとその部分が変化するのです。例えば、昼間の街の映像が映っていたとします。それの一部分を触ると、その部分だけ「夜景」になる! 他には、渋谷の駅前のスクランブル交差点の映像があったとします。そこにある人の雑踏を手でなぞると、その人々を触ったとおり、思い通りに動かすことができる!
 文章で説明してもいまいちよくわからないでしょうから、ぜひこちらの動画をご覧ください。

 とはいえ、なんといってもこのようなインタラクティブな装置は、実際に触れてみるのが楽しい! カシネリ助教のもと、遊ばせてもらったのですが、感動してしまったので思わず「うわー」とか「すごーい」という反応……頭の悪さ全開です。「柔らかいスクリーン」とはいえ、結構丈夫で、これだったら元気のいい男の子が触っても破れないと思います。
 とにかく、これはぜひいろんな方に楽しんでいただきたい研究成果です。画像さえ用意すれば、いろんな素材を用意できるとか。「今の時期だったら、銀杏並木がはらはら落ちる写真を用意して、手で触れると『時間を元に戻す』というのいいね〜」と、石川先生談。確かに魅力的!
(上記の画像は、石川並木小室研究室のサイトからお借りしました)

【追記】
NHKのBS2のデジタル・スタジアムで2005/10/08に放送されたクロノスプロジェクタのよりわかりやすい紹介映像がこちらにあります(RealPlayerが必要)。
http://www.nhk.or.jp/digista/hall/artworks/051008.html
篠原ともえさんが実際に触ってみて「魔法が使えるようになったみたい」と! 確かにそんな感覚なのです。
 情報提供してくださったid:wani-labさん、本当にありがとうございました。