ナノバイオ医療革命

 ご本人、またはご家族の手術を経験された方なら痛感されているでしょうが、手術はできるだけ短い時間で済んで、そしてできれば一日でも早く退院したい。実際に経験がなくても、手術の選択を迫られた方でも痛感していることでしょう。そんな方々には、産業機械工学科の光石衛教授の以下の言葉に「そうそう!」と頷いてしまうに違いありません。

本当に患者の負担をなくそうとするなら、手術というのは最後の手段であるべき。当然、次世代医療としてはナノバイオを活用したDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)や再生医療を考えなければならない。

東京大学テクノロジー&サイエンス Vol.1 (Octobe―シーズとニーズをつなぐ技術・科学の研究動向 (1) (日経BPムック)より一部改変)
光石教授の研究テーマのひとつは、手術支援ロボット。そして東京大学で設置した「ナノバイオ・インテグレーション研究拠点」のナノマシン班のサブリーダーをされています。

 このナノバイオ・インテグレーション研究拠点(CNBI)は「未来型医療システム」を目指して立ち上げられて、工学系研究科を中心に総勢100人の研究者を抱える大きな「プラットフォーム」なのです。こちらの研究代表者を見ただけでも、すごい大所帯であることがわかりますよね。生体内の変化が分子レベルで解明されたいま、医療でもナノメートルレベルの革命を起こそうと奮闘している研究者集団であります。

 例えば、拠点リーダーを務めているマテリアル工学科の片岡一則教授。片岡先生はドラッグ・デリバリー・システム(DDS)という研究をされています。ナノサイズのカプセルの中に薬や遺伝子が入っていて、生体内の「目的地」に直接効く、というもの。例えば、抗ガン剤は、ガン細胞にも効くけれども、正常な細胞にまで影響を及ぼして副作用を起こしてしまう。DDSならばその心配はない、ということ。医学・薬学・工学と領域を超えて急速に研究が進んでいます。

 そんな感じで「こんなこといいな、できたらいいな」が詰まった研究拠点であるCNBI。発足から2年がたちました。その成果発表会が12月14日に行われます。多くの方に活動を見て頂きたい、とのことで一般公開です。そして懇親会もあります〜。会場は医学部教育研究棟にあるカポ・ペリカーノ。季節のパスタがおいしいイタリアンのお店です。成果発表会とお申し込みの概要はこちらから。
NanoBio Tokyo 2007 ■−ナノバイオ・インテグレーション研究拠点成果発表会−■
 懇親会、あのお店でどんなお料理が出るか興味津々の内田からのお知らせでした(研究内容よりも食い気)。