アーバンストックの持続再生-東京大学講義ノート-

 今回は工学系研究科の21世紀COEプログラム都市空間の持続再生学の創出から出版された書籍をご紹介。このプログラムで実施されていた講義のノートを書籍化したものです。

アーバンストックの持続再生―東京大学講義ノート

アーバンストックの持続再生―東京大学講義ノート

 大学の講義ノートなんて、難しくて読んでられない〜って思われるでしょ? それが、この本はその手の期待をいい意味で裏切る内容となっております。
 「都市空間の持続再生学」と聞くと、難しそうですが、私たちのほとんどが住んでいるところは「都会」「田舎」の程度の違いはあれ、どこも「都市」と呼んで間違いありません。こちらの本のまえがきの言葉を借りれば

今や、8割の人が都市に住む時代となり、
人の住むところはほとんどが
都市といわれるようになりました。

というわけでございます。一方で、人口減・高齢化などで「成長を続ける都市」と「衰退する都市」の二極化現象が起きていると。アーバンストック*1の持続、そして再生を考える試みが、工学部の社会基盤学・建築学・都市工学の三学科が手を取り合って取り組んできたプロジェクトがこの「都市空間の持続再生学の創出」なのです。

 上で「いい意味で裏切られる」と書きましたが、それもそのはずかもしれません。だって「住」は私たちとは切っても切れない関係。「へええええ、こんな問題点もあったのね」とびっくりすることや、納得するところなどなど。もちろん、素人には難しいところもありますが、それはそれとして(私の脳みその問題か?)。
 献本してくださった、社会基盤学の藤野陽三教授*2、そして特任研究員の北垣亮馬さま、どうもありがとうございました。

 大学の講義ノートを書籍化したものって売れるんですよねえ。古くは東大の駒場の英語の授業に使っていたThe Universe of English〈2〉The Expanding Universe of English〈2〉とか。これ、教養学部で英語の授業改革が「断行」されたとき、教師が統一教材を作ったんです。それを書籍にして売ったものが上記の二冊。私は、この改革の年に一年生でした(実験されたモルモット学年ともいう*3)。教員が頑張って「学生に伝えたい」という心の入った講義は、普通の書籍として出版されて「講義を受ける学生」以外の人が読んでも、意味のあるものになる。
 というわけで、この「アーバンストックの持続再生」もぜひぜひお勧めです。

*1:のちほどキーワード化します。

*2:先生のHPによると「『橋』の絵を描くこと」がご趣味だとか。「橋」ってところが趣味と仕事の共存って感じでイイ!

*3:私がいた頃に使っていたのはこちら→The Universe of English