生体機能を模倣した新しい人工股関節

こんにちは!今日は先週のプレスリリース&セミナーのご報告です。


マテリアル工学/バイオエンジニアリング専攻 石原教授の20年の研究の集大成。生体機能を模倣した新しい人工股関節が、性能評価、安全性の評価を終了し、このほど、医療機器として製造販売承認され、今秋より臨床の現場での実用化にいたる運びとなったとのこと。


日本でのこうした申請は本当に難しいそうです。
米国や英国で実用化されている医療機器が、日本ではなかなか認可されない。
お話を伺っていて、今回の実用化は、まさに信念と執念の賜物、という気がしました。


医療関係の方々の関心も高く、23日のプレス発表の日に開催されたセミナーには、たくさんの方がご出席になり、熱い質問に、会場は盛り上がっていました。

素材を開発、実用化のプロセスも視野に入れた研究については、工学系の石原先生から。

医学の立場で、実用化の臨床試験を行った研究については、医学系の高取先生からのプレゼンテーション。


そして、いかに摩擦・摩耗が少ないかを示す「やじろべえ」の展示。
生体親和性のポリマーの層が100-150nm(髪の毛の100分の1の厚さ)あるだけで、全く違うことを実感。
 石原先生のお部屋で触れた表面の感触もちがったけれど、
 この「やじろべえ」の回転の違いに、びっくり!!

実用試験は、何と1000万サイクル、80年間に相当する時間で、問題なかったとのこと。


コンタクトレンズ人工心臓、人工股関節、化粧品にも。
生体親和性ポリマーの極薄層があるだけで、全く違う世界が開けてくる。
 ここにも、工学の魅力!! と、思った私でした。


工学系研究科からのリリース全文はこちらから。
東大全学のサイトからも、詳しく紹介されています。

この研究は、産学連携の成果として、「第25回(2011年度)独創性を拓く 先端技術大賞 経済産業大臣賞(産学部門・最優秀賞)」も受賞しています。(受賞式:7月27日)
http://www.fbi-award.jp/sentan/jusyou/index.html