樽茶教授、江崎玲於奈賞受賞!

物理工学科の樽茶清悟教授(現・物理工学科長)が「人工原子・分子の実現と量子コンピューターへの挑戦」という研究内容で第4回江崎玲於奈賞を受賞しました。ぱちぱち〜*1

この樽茶先生の研究内容をここに書こうと、樽茶研究室の研究室紹介とかあれこれ読んだ私ですが、とたんに目まいが……く、苦しい。でも頑張らねば! と勇気を奮い起こして立ち上がりました。いや、それくらい大げさなことなんです。こっち方面が(も?)苦手な私にとっては。

 ニュートン力学に従わないミクロの世界は、量子力学の法則に従います。まあ、知れば知るほど、量子力学は日常生活を送る私たちには「しっくりこない」世界なのですが。この量子力学では簡単な問題ならば解くことは可能。量子力学のお勉強をしたことがある方で、単一の電子状態のシュレーディンガー方程式を解かされた記憶のある方は多いのではないでしょうか*2。でも「単一」ではなく、多数の電子が関わってくると、とたんに難しい問題になります。樽茶先生がこちらで述べているように

超伝導やヘリウムの超流動など、マクロに見てすごく面白い現象では、往々にして多数の粒子の間に相関のある状態が全体に広がっています。量子効果がマクロな現象として現れて、私たちは初めてそれを使うことができる。このようなマクロな系と、量子力学で正確に記述できるミクロな系の間には、大きなギャップがあります

ふむふむ。なるほど(←ほんとにわかったのか、私?)。
 そのギャップを埋めるべく、樽茶先生は「人工原子」というものをつくり、そこからアプローチしているのです。この人工原子を利用して、「パウリの排他則」などさまざまな量子力学の基本仮説を実証してきたとか。すごーい!
 
 人工原子を作るという「工学的」なところから始まり、量子力学の法則に迫るという自然の解明に迫り(こちらはまさに「理学的」)、そして量子コンピュータという「工学的」な応用も……というこの樽茶先生の研究、贅沢でかっこよすぎなのであります。ね、工学部の扱う分野って懐が広いでしょ?

*1:とはいえ、樽茶教授は紫綬褒章など数々の賞を受賞されているのではあります

*2:なぜかそればっかり解いていた気がするんですけど……。化学系の内田談