学生実験室・コレステリック液晶

 
 先週土曜日に開催された第4回工学体験ラボの続きです。前のエントリーの大久保教授の実験もそうなのですが、化学生命工学科の加藤隆史教授の実験も、工学部5号館の学生実験室で行われました。
 私は工学部の応用化学科出身なので、工学部5号館の学生実験室はとても懐かしい場所です。進学振り分けで教養学部から各学部に配属されたばかりの3年生が実験して化学系のことをお勉強するところなのです。大久保先生の無機系のナノマテリアルの実験は「物理化学実験室」で、加藤先生の有機系の実験は「有機化学実験室」を使いました。有機化学実験室を見てびっくりしたのが、各学生の実験台に簡易的なドラフトチャンバーが取り付けられていて、立派になっていること! 加藤先生の説明で「体に悪い気体を吸わないように、取り付けられているんです」との説明がアリ。そ、そうか……私は体に悪い気体を吸いながら実験していたのね。うう。それ以外にも、学生実験室でも保護めがねが必須だったり、安全面には年々力を入れるようになってきたようです。ま、とにかく有機化学実験室は「お菓子作りのような」実験がたくさんあって、私的には楽しい想い出がいっぱいのところです。
 今回、加藤隆史教授が用意して下さった実験は「高分子液晶を使って温度センサーを作ろう」というもの。ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)という物質はもとは粉末状なのですが、加える水の量によって色(反射光)が変わります。そこで、各自お好みの色を目指して水を加え、サンプル瓶の中でガラス棒でよーくかき混ぜます。そして、ふたをしてじっと待つ。でも、この水溶液は完全にきれいな色が出るまで1週間以上かかります。というわけで、この各自作ったサンプルはお土産に。そして、家でドライヤーで温めたり、冷蔵庫で冷やしてみたりして色の変化を見て楽しんでください、とのこと。
 なぜ、HPCは濃度や温度によって色が変わるのでしょう? 今回、コレステリック液晶はてなキーワードを作成したので、詳しくはそちらをご覧くださいませ。

 右の写真は、加藤先生がセミナーでも披露した「温度によって液晶が他の状態に変化する瞬間」を学生実験室の顕微鏡でも見ることができたのですが、それを観察している参加者の女子高生の方。たぶん、この表情は「瞬間」を見たときなんでしょうね。私も見せてもらったのですが、思わず「わ〜」と声をあげてしまいましたもの。