国立大学法人8大学工学部長会議声明・記者会見

 ものものしいタイトルですが、実際ものものしい記者会見でした。本日、14時から工学部の列品館大会議室で開催された記者会見。9月10日に

 企業の採用活動の早期化が化学・薬学・工学系大学生らの学業に悪影響を及ぼしているとして、東京大大学院の教授らが10日、企業に採用の早期化を止めるよう要望する宣言を発表した。国立8大学・大学院の教授に呼び掛け、32の学科専攻から賛同を得た。

 発起人の西郷和彦東大大学院教授らによると、理系学生は早ければ卒業前年度の秋から就職活動が始まるため、学生の研究時間が奪われ、就職が決まった後は学業に身が入らないなどの弊害が出ているという。

 特に修士課程の学生は入学半年で就職活動が始まるため問題は深刻で、西郷教授は「学生の能力向上を大きく阻害している。技術立国である日本にとって大きな問題だ」と訴えている。

 という記者会見もしました。こちらも工学部が会場になりましたが、化学生命工学科の西郷教授が発起人で「化学系は就職活動の開始が早いので、いち早く手を打たないと」という趣旨で声明を出したので「化学・薬学・工学系」に限ったものでした。こちらも多くのメディアで取り上げて頂いてありがたい限り。

 今回は「国立大学法人8大学工学部長会議」*1としての声明。今回、発表者として参加したのは、写真左から東北大学大学院工学研究科長 内田龍男先生、東京大学大学院工学系研究科長 保立和夫先生、東京工業大学大学院理工学研究科工学系長 岡崎健先生、京都大学大学院工学研究科長 大嶌幸一郎先生、大阪大学大学院基礎工学研究科長 戸部義人先生。「我らのお笑い系工学部長*2」保立教授も真剣な面持ちです。
 趣旨は、基本的には上記の西郷教授が発起人となった前回の記者会見の内容と一緒です。工学系は企業に行く人が多いので、就職活動をする学生が多い。今はM1の夏頃から就職活動が始まり、中には半年以上長期化する人もいる。それでは大学側は「大学院で教育を受けるべき大事な時期を失っている」「学生が博士課程に進学するか就職するか判断すべき時間の余裕がない」として、今回の記者会見をしたという次第です。さらに、今回は記者会見のあとに、京大、東工大、東大の工学部長が揃って経団連に赴き、会長にその旨の「申請書」を提出しにいきました。すごい。

 この問題、学生視点、採用側の視点、など多様な視点で考えると難しい話ですよね。でも今回の声明をきっかけに三者がハッピーとなれる道を探ることができればいいな、と思います。一歩を踏み出さなければ、何も進みませんもの。
 
 今回の記者会見、計12の新聞社、2のテレビ局が来て下さいました。どこかで良い記事、番組として報道して下さることでしょう。このブログ、メディアとしては最小だし影響力は皆無だけど、速報性だったら負けないぞっと。

*1:50年以上の歴史があるそうな。会議の構成員は北海道大・東北大・東京大・東京工業大・名古屋大・京都大・大阪大・九州大の工学系の研究科。トータルで24の専攻・学科になります。

*2:あ、もちろん「お笑い」の面だけじゃなく真摯で深いことをいつも考えていらっしゃる先生なんですよ。