「自己組織化によるナノメートルスケールの構造・空間・機能の創出」で、応用化学専攻の藤田誠教授が、トムソン・ロイターリサーチフロントアワードを受賞されました。

2月も寒い中、今日は、応用化学専攻の藤田誠教授が、
トムソン・ロイターリサーチフロントアワードを受賞されたホットな話題です。


JSTのお知らせサイトから、この賞について引用すると・・・

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世界的な情報サービス企業「トムソン・ロイター」(本社・ニューヨーク)は、2006-2011年の論文データベースの引用分析に基づき、今後の発展が特に期待される日本の7つの先端研究領域と、その領域で世界をリードする日本の研究機関に所属する研究者16人を「第3回リサーチフロントアワード」の受賞者に選んだ。授賞式は21日、東京・赤坂のトムソン・ロイターオフィスで行われる。


「リサーチフロントアワード」の選出では、トムソン・ロイターが分類した22の学術分野において最も高頻度で引用されている上位1%の論文(被引用論文)のうち、後に発表された論文にも一緒に引用されている論文(共引用論文)を分析する。04年、07年に続く今回は、研究内容と成果の潜在的な可能性を重視し、最近の被引用数の伸びが上昇傾向にある論文を含む先端研究領域(リサーチフロント)を世界で6,762件選出した。そのうち日本の研究者が含まれるリサーチフロントは1,175件で、特に日本の貢献の比重が高いリサーチフロント7件から、顕著な功績が認められる研究者を選んだ。


選出については、毎年9月に「トムソン・ロイター引用栄誉賞(ノーベル賞受賞者予測)」の分析を手掛けるアナリスト、デービッド・ペンドルベリー(David Pendlebury)氏が担当したという。


なおリサーチフロントの基本手法は、科学技術政策研究所(NISTEP)が2004年から発行する「注目される研究領域の動向調査」に用いられている。さらに科学技術振興機構(JST)が昨年12月開設した「J-Global foresight」において、今後「JST指標」の1つとして公開される予定だ。


「第3回リサーチフロントアワード」の先端研究領域、受賞者は次の通り(敬称略)。
〈化学〉「らせん構造制御を基盤とする機能性高分子の開発」前田勝浩(金沢大学)
〈化学〉「炭素-水素結合切断を経る酸化的カップリングの新手法開発」三浦雅博(大阪大学)・佐藤哲也(大阪大学)
〈化学〉「自己組織化によるナノメートルスケールの構造・空間・機能の創出」藤田誠(東京大学)・吉沢道人(東京工業大学)
〈化学〉「金属ナノ粒子触媒を用いた液相化学水素貯蔵材料の開発」徐強(Qiang Xu)(産業技術総合研究所)・塩山洋(同)
〈地球科学〉「地質学的な手法に基づき19億年前の超大陸を復元し、北中国地塊の位置を推定」丸山茂徳(東京工業大学)・サントッシュ・マダバワリヤー(M. Santosh)(高知大学)
〈材料科学〉「1次元無機ナノ構造物質の探索・創製とその応用」板東義雄(物質・材料研究機構)・デミトリ・ゴルバーグ(Dmitri Golberg)(同)
〈植物学〉「植物ホルモン機能の発見によるストリゴラクトン研究の新展開」秋山康紀(大阪府立大学)・経塚淳子(東京大学)・林英雄(大阪府立大学)・山口信次郎(東北大学)・米山弘一(宇都宮大学)
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ということで、東京大学からは、工学系研究科の藤田先生と、農学生命系研究科の経塚先生が受賞されました。
授賞式の様子は、こんな感じ・・・


赤坂にあるリッチなオフィスで、2月21日に授賞式が行われ、
江崎玲於奈先生のご講演も伺い、私も晴れがましい気持ちで参加しました。

「自己組織化」のキーワードは、昨年テクノサイエンスカフェにご登壇いただいた
相田先生のアクアマテリアルのところでも出てきました。
 今後の化学分野の大きな潮流だと感じました。

藤田先生から頂いたイメージ図はこちら。

今後のさらなる研究のご発展をお祈りしています。

学生さんが作る広報誌Ttime!増刊号 Technomus

工学系研究科・工学部広報では、魅力的な研究や活動をお伝えするために
色々な活動を行っています。


学生が作る広報誌 Ttime!もその一つ。
特集記事を組んで、学生さんが主体的に取材をして、記事化、
最近は2か月に1回、8ページの冊子を制作・発行しています。
 2004年の6月にスタートしてから、もう、7年が経っています。
 継続的な活動をしてくださっている、学生の皆さんに感謝!!


このTtime!
工学部のWEBページから、また、学生さんのWEBページからも
バックナンバーを読むことが出来ます。


さて、このTtime!ですが、昨年、学生さんの中から、
もう少しまとまった形の増刊号を出したい、という声が上がりました。


学生さんの主体的な活動に反対のわけもなく、
先生方のバックアップを得て、活動がスタート。


まずは、コンセプトを練るところから。。。
そして、今回の彼らが考えたコンセプトが 「預言書」

 タイトルのTechnomusは、架空の工学者(預言者)の名前です。


表紙や、研究のまとめ方、学生生活のページなどにも
それぞれのこだわりがちりばめられて、
素敵な冊子に出来上がりました。

彼らの選んだ研究をイラストで少しだけご紹介。




昨年末の高校生のためのオープンキャンパス向けに発行して
当日は、学生さんのサポートも得て、1000部以上を配布しました。
 ふ〜っ。(配るのも寒くて大変だった・・風も強くて・・・)


彼らの力作、どうぞご一読あれ!
工学部広報ラウンジ、全学広報センターにも配置していますので、
本郷にお越しの節は、ぜひ手に取ってみてくださいね!!
 

 国連と初の共同開催『超小型衛星シンポジウム』 新コンセプト発表! 航空宇宙工学専攻 中須賀 真一教授

12月9日に、国連と初の共同開催『超小型衛星シンポジウム』 新コンセプト発表!
「100 カ国構想 〜多様化する超小型衛星技術開発をオールジャパンでサポートする!」
に関する記者会見が開催されました。


今回の記者会見は、
国際連合宇宙部(UNOOSA) ヴェルナー・バロッグ氏の来日に合わせ
国連との共同開催となる2012年10月 名古屋開催
第4回超小型衛星シンポジウムのご案内、
また、2011年12月12-14日に北九州で開催される
第3回超小型衛星シンポジウムのご案内も兼ねて開催されました。


我らが広報室長 中須賀教授の超小型衛星開発構想のプレゼンに続き、
ヴェルナー・バロッグ氏のにこやかな笑顔でのプレゼン。
 なぜ、国連が宇宙開発に関わっているのか・・
 実は初めて理解できました。


宇宙という広大な世界を舞台に、限りない可能性を感じて、
海外への教育プログラムにも貢献する将来構想。
約1年で開発を経験する ジュース缶サイズの cansatを打ち上げるロケットがこちら。


当日は、たくさんの取材記者の方々にもいらしていただけて、
会場は満席でした。


NHKの12月10日おはよう日本でも放送されたとのこと、
今ならNHKのサイトで、動画も見ることができます。
 NHKの取材カメラはこんな感じでした。

 

中須賀先生のご講演、
 12月23日開催の、高校生のためのオープンキャンパスでもお聞きいただけます。
詳細は、こちらからご覧ください。


また、超小型衛星のミッションアイディアコンテスト等、
今回の記者会見のリリースは工学部ページからご覧ください。
 独創的なアイディア、宇宙開発の裾野を広げるのは、あなたかもしれません!?

11/19 建築のデザイン/キャンパスの空間を開催しました!

かなり残念な雨の中でしたが、千葉准教授による、東大テクノサイエンスカフェを11/19に開催しました。


いつも開催している、Tloungeのある工学部11号館ではなく、千葉先生のご提案で、歴史のある工学部1号館での開催となりました。いらしていただいた60名のみなさま、足もとの悪い中、ありがとうございました。


千葉先生の御講演では、今回のチラシにも採用した先生の作品群の説明がありました。建築のデザインが、白紙の状態からどんな風に形をなしていくのか、リアルな経過とともに、わかりやすく、魅力的にお話しいただきました。1号館 講評室での講演はこんな感じでした。


 ・ハロウィーインのカボチャをイメージして作った建物。
 ・所さんという方のデザインした OUT
   横から見ると、 トコロになっていて、ご本人が記念撮影。
 ・盲導犬と人が集う、富士山ふもとのオープンスペース。


そして、建物をフォローする、という言葉を実践される
エコサイクリングのイベント開催&ご自身での参加。
 デザインや建築をめぐる先生の生き様にも触れた気がしました。


工学部1号館図書館にあるヴィーナス像のうんちく。
歴史ある1号館の15号講義室。



東大キャンパスの木々。(ごめんなさい、スゴイ雨だったので外の写真はご勘弁を)

本が並ぶイメージを具現化した中央図書館のデザイン。
 先生の語られるエピソードが、とても興味深かったです。


意外と地味な仕事の積み重ね・・とおっしゃっていましたが、できたデザインのカッコよさ、その奥深さに”惚れた!!”という感想もいただきました。
 (先生ご自身も、モノトーンの服に身を包み、いつも、とても素敵なんです・・)


何回かテクノサイエンスカフェ二ご参加いただき、
今回で、学生証のスタンプも3つ、という方もちらほら。
 少しでも、若い世代に工学の魅力、伝えていきたいと思っています。


次回は、12/23のオープンキャンパスを経て、
おそらく、3月頃の開催になる予定です。
 少し間が空きますが、また次回ご参加いただければ幸いです。

10月のプレスリリース

こんにちは。ご無沙汰しています。
というのも、プレスリリース、工学部紹介冊子の制作等、結構仕事が忙しく・・

今月のプレスリリースが何件かありますので、
ここでも紹介させていただきますね。

  • まずは、 化学生命工学専攻 上田宏准教授による

抗原に結合すると光る抗体の作製に成功 −モルヒネ・ヘロインなど各種分子の簡便迅速高感度な検出法開発へ−


1mL中に 10 億分の 1 グラムしかないモルヒネ・ヘロインなどの低分子化合物や
バイオマーカータンパク質など各種分子を
混ぜてその強度蛍光を測定するだけで簡便に検出できることを示した成果です。


免疫測定法としてのこの手法の利点としては、
1) 洗浄工程が不要で、少量のサンプルと混合して蛍光強度を測定するだけで測定が完了する極めて簡便な診断技術であること、
2) 抗体中に存在する保存性の高いトリプトファンを利用するため、抗体の種類を変えれば種々の物質の検出にも広く適用が可能な点で汎用性に優れていること、
3) 低分子化合物,ペプチド,高分子タンパク質といった多種類の抗原に対して適用可能であること、などがあげられます。


今後、本原理に基づく新しい検出・診断法や装置の開発が期待されるとのこと。

新聞や日経バイオテク等にも取り上げられました。
詳細は、以下をご覧ください。
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/epage/release/2011/100701.html 

  • また、同じく化学生命工学専攻の相田卓三教授からは、記者会見での発表も。

電子輸送層とホール輸送層の2つの分子グラフェンを接合
−飛躍的な高効率有機薄膜太陽電池の開発に期待−


電子とホールの輸送層を精度よく接合した1本の炭素ナノチューブは、
高効率な有機薄膜太陽電池にとって理想的な構造を実現したもので、
基礎と応用の両面で大きなインパクトを与えるもの、とのこと。


最近、「自己組織化」がキーワードの研究が多い気がしますね。
ナノレベルでの制御をしつつ、製造を視野に入れると、
自己組織化する素材がクローズアップされてくるということでしょうか。


相田先生のアクアマテリアル(7月のテクノサイエンスカフェのテーマでしたね)でも、
同様の分子制御技術が共通しているようです。
リリースの詳細はこちらからご覧ください。
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/epage/release/2011/102101.html


理化学研究所との共同研究では、
1) 技術の先鞭をつける
2) 技術のブラッシュアップをはかり、より効率化を狙う
の方向のうち、2は企業にゆだね、大学プロジェクトとしては1を追究する。
 その説明にも納得しました。


このScience掲載の研究成果が、
たくさんの研究者に引用される論文になりそうな予感がした記者会見でした。

 東大テクノサイエンスカフェ「カーボンナノチューブと未来のエレクトロニクス」9/10開催しました。

まだ暑い9月10日午後、
国際科学技術財団主催、東京大学大学院工学系研究科広報室共催で
 「カーボンナノチューブと未来のエレクトロニクス」
と題した やさしい科学技術セミナー&東大テクノサイエンスカフェを開催しました。

200名を超える事前申し込みがありましたが、当日のキャンセルも多く、
実際には150名くらいの参加だったようです。


でも、皆さんとても熱心にきいてくださり、
質問時間も足りないくらいでした。


今回の講師である 加藤雄一郎先生には、昨年来色々とお世話になり、
このイベントでは加藤研究室の皆さん、ほぼ総出でサポートいただきました。
 わかりやすいご講演、模型作りなど、本当にありがとうございました。


講演の間にも、
実際にナノチューブの筒を紙でつくってみたり、
カーボンナノチューブフラーレンの分子模型を回覧してくださったり、
随所にわかりやすさの工夫、参加者が楽しめることを配慮してくださいました。


後半の体験実験は、電気系の学生さん15名のサポートもあり、
5か所の「未来のエレクトロニクス」実験ブースは盛況でした。



加藤研のブースも、
フラーレンの分子模型を熱心に作る子供たちで一杯。
用意した模型はすぐになくなってしまいました。


サポートいただいた学生さん、いろいろとありがとうございました。
加藤先生の座学講義の内容は、こちらからもご覧いただけますので、どうぞ。
 


次回は 11月19日、建築学科 千葉准教授による東大テクノサイエンスカフェを予定しています。
10月中旬以降に募集を開始しますので、またぜひお越しくださいね。

夏休みのひととき、化学を楽しむイベント、7/23東大テクノサイエンスカフェ開催 その2

みなさん、こんにちは。暑さが半端じゃないこの頃。お元気でしょうか。
でも、8月ももう半分終わりましたね。
蝉の声も心なしか、秋の気配も感じさせます。


さて、ずいぶん遅くなってしまいましたが、
7月23日開催の東大テクノサイエンスカフェの後半も、
少しは書いておかないと・・


本当に素晴らしい学生さんに支えられた今回の企画。
準備の段階から、毎週のように集まって、
実験の様子をYouTubeにアップしてくれたA君、
説明のパワーポイントをつくってくれたOさん、Nさん。
全体をとりまとめて、会議ではファシリテーターの役目も果たしてくれたH君。
監督っぽく、進めやすい場づくりにも配慮してくれたI君。
 音楽もよかったよね。。
それぞれの個性と、熱意のたまものでした。


学生さんの報告、詳しいので、こちらもご覧下さいね。


カルタ大会も盛り上がり、
化学の基礎を、原子の説明からスタート。
 意外なところで、小学生に受けて、横で笑ってしまった。。


実験の準備も入念に。
小中学生の考察もレベル高かったですね。
  紫キャベツのエキスの色変化。
  フルーチェペクチン)の粘度変化。
楽しんでいただけたでしょうか?



保護者の方も、お子さんの新しい1面を発見されていたような。


熱心な保護者の方にも支えられ、
これからも、皆様に楽しんでいただける企画を考えたいと思っています。


最後に、今回の企画への感想をいくつか掲載させていただいて。<小学生・男子>
 実際に触ってみたら、とってもやわらかくてびっくりした。冷たかった!!
 これからも、たくさん参加したい。化学っておもしろい!クイズ・実験が楽しかった。<小学生・男子>
 アクアマテリアルなど、まったく知らない最先たんの化学を知れてかなりよかった。<中学生・女子>
 直接、アクアマテリアルを触れて良かった。又、水から、ゴム(プラスチック)に
なることが不思議だと思いました。<高校生・男子>
 今回は暑い日となりましたが,素晴らしい講演会をありがとうございました。
私はアクアマテリアルの研究に至った経緯で,人に優しく自然のなかで循環して
いく水を原料としてみるという点に非常に興味が湧きました。
98%が水で出来た材料と聞いて,初めは形状が定まっていないスライムのような
ものを想像していましたが,実際に目にし,手にしてみて驚きを感じています。
アクアマテリアルは自然との関係が良いだけでなく,様々な特徴をもっている
ので,ただ単にプラスチック・金属の代用として使われるのではなく,
全く新しい道で活躍していくのだろうと思いました。
資源枯渇の中,この研究は始まったばかりなので,まだまだ未知の世界が広がって
いると思います。
将来私もこのような研究に貢献できたらと思います。さらに,私が学んでみたい
建築学のなかでも,この研究の成果が活かされていくことを信じています!
今回は興味深い講演会をありがとうございました。<高校生・女子>
 全量の98%が水でも,ほんの少しの有機物で液体ではなくジェルの状態を保つ
事ができるということに驚きました。
小さくてもこんな事ができる分子(有機物)の力はすごいなと思いました。
実際にアクアマテリアルを触って,伸ばして,変形してみて,
本当に感動しました。
地球温暖化・石油枯渇など環境について色々と問題視されている今,
アクアマテリアルのように環境に優しいものがどんどん作られていくことは
素晴らしい事だと思います!


今後ともどうぞよろしくお願いいたします。